今まで生きてきてタコ部屋なんかにお世話になる事が無いと思っていたが僕が留守中に会社が倒産してしまい。地元では顔がさすのでいっそうの事、新天地という事で神戸から横浜に夜行バスで向かいハローワークの求人で会社に勤め一年間タコ部屋生活を経験した事をまとめてみる。
俺は誰の頼りも無く横浜に来て所持金は5千円程だった。横浜に来た日に仕事を見つけなければダメだ、野宿になってしまう。ハローワークで就職探しをする。職種をこだわらなければ見つかるのだろうが自身が何か経験したスキルのある仕事と言えば土木工事関係だった土木工事にそれと個室寮完備と言う条件で探してみた。数件見つかった4社くらい面接に応じてくれるとの事。早速、履歴書を書き面接に行った。
目次
面接で
僕は全身に刺青が入っている上、両手の小指も無い、面接官にそのことを言うとその場で言い難いのか後日電話で合否を連絡するとか、他に人を雇用したばかりでもう求人募集してないとか、本当か嘘かわからない回答をしてくる。
疲れながらも約束していた最後の会社に面接に向かった。横浜市内にある土建会社だった。
面接で刺青、指の欠損の事を言ったが了承してくれその場で採用してくれた。
個室寮は嘘だった。
面接で採用となると早速寮へ案内してくれた。
案内してくれたのは会社の社員に案内された。
しかし、案内されたのは古びた3DKのマンションで既に3人が住んでいる。
僕に与えられた部屋は台所だった。
一瞬、「やめようか」と思ったが、もう夕方になっていたのでまたハローワークに行っても募集先が今日中に面接してくれるかどうかもわからないので開き直り諦めて台所を住まわせてもらう事にした。
マンション内の細かい説明は無く案内してくれた社員は会社の方にさっさと帰ってしまった。
プライバシーの無い生活
台所は3畳程の広さだった。テーブル、食器棚など置いていないから何とか横になれる。
カバンを台所に置きとりあえず食料を買いにスーパーに行く。
幸いスーパーは部屋から歩いて3分位の所にあったので買い物には困らない。
所持金5千円しかないから今日、明日の食べ物(ペットボトルのお茶、カップ麺数個)
を買った。部屋に帰ってきてお茶は冷やさないといけないと思い共同の冷蔵庫を開けると他の同居人のビールや飲み物が沢山入っているから整理して何とかお茶が入るスペースを確保してペットボトルのお茶一本だけ入れる事が出来た。
その時は部屋に誰かいるような感じだったが襖、ドアなどを締め切って誰も挨拶に出てきてくれない、ましてはこちらから声かけをする元気もない。まずはトイレを開けてみた。
トイレは汚く便器も汚れている。雑誌が積み上げられていてその上に灰皿が置かれている。
壁紙はタバコのヤニで変色していた。それとトイレットペーパーもない。
今度はバスルームを見た。浴槽は湯垢で湯を溜めて入れる状態ではなく何とかシャワーが出来るかという状態、石鹸、シャンプー等も無い。
洗濯機を見てみた、洗剤、柔軟剤などない、乾燥機も無いのでどうやって洗濯物を干したらいいのか悩んだ。
そうしていると1人冷蔵庫を開けに部屋から出てきたので挨拶をした。
年齢は50歳過ぎの人だった。結構話しかけてくれ悪い感じはしなかった。
その50歳の人は別部屋のドアを開けて40歳くらいの男性を僕に紹介してくれた。
その人が部屋長らしく挨拶を済ませてこの部屋に分からない事について聞いてみた。
聞いてみると
・食事は自分で作る。白飯が食べたいのなら炊飯器と米を買い自分で自炊する。
・電子レンジは共同で使う。
・トイレットペーパーは各自で購入しトイレに持込み使用。
・洗濯洗剤、シャンプー、石鹸なども自分で購入。
・洗濯物を干すのは自分の部屋で(僕の場合は台所)
・一応、週ごとにトイレ、風呂場の掃除当番が決まっている。
・部屋代は家賃と光熱費などを住居人数で割って給与から引かれる。
との事だった。
ホームシックになりそうだが神戸に帰れるところがない。
絶対頑張ってもう一度会社企業をする。
それができるならしばらくタコ部屋での生活も苦ではないと自分に言い聞かせて我慢する事にした。
困った事
タコ部屋に住んでいくうちに同居人と仲良くなってくる。というか仲良くしなければいけない。
とにかく部屋を脱出する事だけを考えていた。
そのためにはお金を貯めないと行けないマンションの敷金などを貯めなければいけない。
しかし同居人たちから色んな誘いが来た。
・賭け花札、株札、競馬、パチンコ等に行こう、麻雀しようという誘い…
ギャンブルはしないと断った。
・酒盛りしよう、飲みに行こうと言う誘い。
本来酒は大好きだがお酒は全く飲めないと断った。
お金の掛かる付き合いは一切断った。
食事面は炊飯器まで買ってまで自炊はしなかった。
何故かというと仕事から帰ってきたらクタクタでご飯を自炊、外食する元気もない。
近くのスーパーでカップ麺を買ってそれで済ませた。その方が洗い物もしなくてよい。
1年間そんな生活を続けていたら大きな金額ではないが貯金もできた。
仕事の方も一切休まず、誰よりも朝早く会社に出社しトイレ掃除などして仕事現場では現場監督と打ち合わせして作業員達に指示を出せるようになった。
しかしまだマンションを借りる貯蓄が無いから会社を辞める覚悟でマンションを借りる足らずの資金を社長に頼んでみた。
断られるかと思ったが、足らずの資金を貸してくれた。
そして念願の家賃12万円のマンションを借りる事が出来た。
最後に
タコ部屋というもの会社によってそれぞれ違うと思うがその生活から脱出したければある程度の期間、欲望を断ち節制する事。
真面目にして会社よりに仕事をしていたら社長から資金的援助をしてくれるかもしれない。
ハローワークの求人の待遇欄はハローワーク自体も確認していないのでアテにしない方がいい。